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北見小児科医師が書いた子育てアドバイス

母乳とタバコ

2001年、アメリカ小児科学会から面白い勧告が出されました。それ以前の勧告では、授乳中母親への投与を禁止とした乱用薬物(Drug of Abuse)としてアンフェタミン、コカイン、マリファナなどとともに『ニコチン』をあげていました。

ニコチンおよびその代謝物により母乳産生が抑制され、児の体重増加が抑えられるとの理由からでした。しかし1年後の赤ちゃんの発育を検討した結果、ニコチンの影響は明らかではなく、また母乳中および環境中のニコチンが必ずしも赤ちゃんの呼吸器疾患(中耳炎を含めて)の増加に結びつかないという報告もあり、この勧告ではニコチンを除外してしまいました。

喫煙することで母乳中のニコチン濃度は、母親の血清中の1.5~3倍に達し、その半減期は血清中と同様に60~90分です。この母乳中に移行したニコチンの影響を明らかにできない理由として、生後タバコの暴露を受ける環境というのは、胎児期においてもタバコの暴露を受けた可能性が大きく、両者を明確に区別できる条件が整わないからともいえます。

アメリカ小児科学会が、ニコチンを除外したもうひとつの理由があります。妊娠や授乳は、喫煙をやめる良い機会といえますが、世の中にはどうしても授乳中だからといって喫煙をやめられないお母さんがいます(アメリカの話ですよ)。
禁忌とすると、タバコを吸いたいために母乳をやめてしまうお母さんがいる。母乳をやめるくらいなら、タバコぐらい吸ってもいいよというのです(あくまでアメリカの話ですよ)。
つけたしで、授乳中タバコを吸っていた母親からの母乳栄養児は、人工乳でタバコを吸っていた母からの児と比較して、急性の呼吸器疾患にかかる頻度が少ないという報告もあげています。

母乳中のニコチンの問題よりも、赤ちゃんが直接煙を吸うことの影響のほうが心配されます(受動喫煙)。小児期における受動喫煙が、健康によくない影響を及ぼすことが、現在明らかにきてなっています。呼吸器、中耳への影響など、これらの疾患発症の大きなリスクファクターとなることは明らかであり、さらに母親の喫煙がSIDS(乳児突然死症候群)の発生率を著名に高めることは、50件以上のすべての調査において証明されています。

タバコが身体に悪いことはだれもが知っていることであり、赤ちゃんのためにも自分のためにもぜひ禁煙を!

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