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北見小児科医師が書いた子育てアドバイス

ワクチンギャップの解消と今後の展望②

本邦では近年、ヒブ、肺炎球菌、水痘、B型肝炎ワクチンと定期接種化が進み、残りはおたふくかぜとロタウイルスワクチンとなっています。この2つも定期接種への動きが加速しているようです。

①おたふくかぜワクチン

1989年、MMR(はしか、風疹、おたふく)ワクチンが導入されました。しかし、無菌性髄膜炎の発生頻度が1/500~1/900と予想よりも非常に高かったため、1993年接種が中止となりました。この時使用されたおたふくかぜのUrabe統一株の病原性が高かったことが原因とされています。このことが日本でおたふくかぜワクチンの定期接種化が遅れている一因となっています。

ワクチンの有効性や医療経済性は高く、一刻も早い定期接種化が望まれています。

現在、安全性とコンプライアンスを重視する考えに立ち、欧米で使用されているMMRワクチンを導入するか、本邦のMRワクチンに外国株を入れたMMRワクチンを開発する計画が進行しています。数年の内には、おたふく単独のワクチンではなく、MMRという形での定期接種が実現するものと考えられています。

②ロタウイルスワクチン

ロタリックス(GSK1価)、ロタテック(MSK5価)の2種類の外国製品が使用されていますが、高額なこともあり、現在の接種率は6割程度です。また以前から副作用として腸重積症との関連が指摘されており、生後6ヶ月までの接種が勧められています。

現在、ロタウイルス発症者数(入院者数)や腸重積症のベースラインデータ、ワクチン接種後の腸重積症患者数などのデータを集積し、安全性、有効性を評価している段階と思われますが、今使用されているワクチンで、早ければ来年にも定期接種が実施されるかもしれません。

③百日咳ワクチンの追加接種

欧米の多くの国では、4~8歳で、4種混合ワクチン(ジフテリア、破傷風、ポリオ、百日咳)の追加接種が行われていますが、日本は行っていません。小学6年生で、2種DTワクチン(ジフテリア、破傷風)だけの接種となっています。このため百日咳に対する免疫の低下から、年長児(とくに20歳以上)での百日咳の拡大が最近とくに問題となっています。

米国は11歳以上で、日本で開発された3種混合(DPT)ワクチンのジフテリア、百日咳の抗原量を減らした「Tdap」ワクチンを使用しています。日本では、これまで使用してきた3種混合ワクチンの中で、阪大微研の「トリビック」の追加接種での使用が認められました。今後、現在の小学校6年生の2種(DT)は百日咳が加えられた3種ワクチンになることが予測されています。一方、4~6歳で4種混合ワクチンの4回目の追加接種をする案も考慮されています。

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