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北見小児科医師が書いた子育てアドバイス

病児保育 その①

秋山こどもクリニックは、4月から医療併設型の病児保育を始める予定です。私達がこれから行おうとしている病児保育について2回にわたって紹介します。

まず、病児保育室がどのようなところか、不安に思われるお母さんも多いと思います。そこで保育室に預けられたお子さんはどのような一日を過ごすのか、例をあげて見てみましょう。紹介するのは、まなこどもクリニック(千葉県)の病児保育室(ポピンズルーム)の様子です。

【病児保育の一日】

A君、1歳3か月。お母さんに連れられて、保育室にやってきました。カゼをひくたびにゼイゼイする子どもです。お母さんによれば「保育所にいくようになってから、ずっとカゼをひきっぱなしです。昨日は熱が高く、夜はぐずって眠れませんでした」とのことでした。朝、医師の診察を受けてから保育開始です。医師が聴診すると、呼吸の音がゼイゼイしています。鼓膜をみると、中耳炎があります。「ウイルス性の気管支炎が流行っているからね。ネブライザーと、鼻汁吸引をやりますね。お薬は、昨日○○先生に処方してもらったのを続けて飲んで下さいね。中耳炎になっているから、耳をあまり痛がるようなら耳鼻科への受診も必要です」と医師が診察の結果を伝えます。

次に、保育を担当する保育士が、昨日の様子を詳しく聞き取ります。「夜、解熱剤は何時に使いましたか?おしっこは出ていますか?寝るときには、タオルをしゃぶっているとよく寝付くのですね。薬はどうやって飲ませていますか?」など。昨日からの健康状態(呼吸、食事水分摂取、排泄、嘔吐、発熱など)について詳しく聞きます。また、お子さんが安心して過ごせるように、普段どうやって過ごすのが一番くつろげるか、情報を集めます。お母さんがお子さんを預けて出かけると、A君はお母さんを後追いしてしばらくは大泣きです。抱っこして窓から外を見せたり、動くおもちゃで気を紛らわせたりして、泣き止むのを待ちました。さすが、保育所で日々慣れているだけあって、10分ほどで泣き止みました。

泣き止んだら、遊びに誘います。ゼイゼイしているからあまり走り回ったり、はしゃぎすぎたりしないように、絵本を読んだり、ミニカーを走らせたりします。咳とゼイゼイが少しひどくなってきたので、診察室でネブライザーと鼻汁吸引を受けた後はすっきりしました。

食欲がないとお母さんが心配していたA君ですが、同室のお友達が食べているのを見たら、食欲が出てきたようです。お昼の煮込みうどんをたくさん食べられました。お薬の内服も上手にできました。お昼寝中は、たびたび咳き込んでしまって熟睡ができないので、背中を高くして寝かせました。咳は少し楽になり2時間ほど眠ることができました。寝ている間に医師が回診に来ましたが、喘鳴は朝より改善しているようでした。

お昼寝から覚めたら、熱が下がって、咳も減ってきました。お母さんがお迎えに来て、大喜びのA君。まだ少しゼイゼイしているから、明日もう一日お預かりしてゆっくり療養しましょう、とお話しました。

大体、このような形で病児保育室の一日が経過してゆきます。病児保育室は、子どもが病気のときに、保育士、看護師、医師などの専門家からしっかりケアを受けつつ、家庭で過ごすのと同じように、くつろぎ、楽しく過ごせる場所をめざしています。

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