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北見小児科医師が書いた子育てアドバイス

ちえ熱って?

元気なんですけど微熱があります。これってちえ熱ですか?乳児を連れたおばあちゃんからの質問です。ちえ熱という項目は医学書にはありません。

しかし以前から〈ちえ熱〉という言葉はよく耳にします。ちえ熱って本当にあるのでしょうか?一般的には、ちえ熱というのは、乳児がちょうど歯が生え始める生後6~8ヶ月頃にだす原因がはっきりしない熱のことをさすようです。

この頃は寝返りをし、お座りをし、呼ぶと振り向き、手を伸ばして欲しい物をとったり、また人見知りなども始まります。次々にいろいろなことができるようになり、お母さんにとってとっても新鮮で驚きの毎日かもしれません。

免疫学的にみると、それまで赤ちゃんをいろいろな病気から守ってくれた母体からの経胎盤経由の免疫グロブリンが減少し、感染症にかかりやすくなること、以前より外出する機会も多くなります。

ちえ熱という言葉は、赤ちゃんの発達が著しくなる時期と、抵抗力が低下し感染しやすくなる頃にだす風邪などの感染症や、うつ熱などに付けられた名称といえます。

乳児死亡率が高かった昔は、この頃まで無事に育ったということは、これから先も無事に育つという一つの証になったものと思われます。ですからちえ熱という言葉はけっして悪い意味ではなく、むしろ喜ばしい表現で使われていたのかもしれません。

日本で言うちえ熱を、欧米では乳歯の生えることに求めたようです。欧米の古い小児科の教科書には「生歯熱」の記載があるようです。日本でもこの考えは比較的知られていて、発熱の原因が歯が生えてきたことによるのですか?という質問を受けます。関係はないのでは…と答えていますが、まんざら誤りでないかもしれません。

1992年、英国の小児専門誌に生歯熱を肯定する研究結果が発表されました。イスラエルからの報告で、46人の健康児で乳歯が生える前日から当日は37.5~38度くらいの微熱が多くの児でみられています。さらに細かい検討が必要のようにも思えますが、昔からの意見には、頭から否定せずに謙虚に耳を傾ける必要がありそうです。

いずれにせよ、ちえ熱?生歯熱?は、38度を越えることはなく、1~2日で解熱し他の症状を伴うことはありません。

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