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北見小児科医師が書いた子育てアドバイス

子どもの睡眠(3)寝ない子は太る(寝る子は太らない)

「寝ないと太る」というと「寝ると太る」の間違いではないか、とよくいわれます。

しかし「寝ると太る」と聞いて多くの人がイメージするのは、何もしないでからだを動かさずお菓子などを食べながらテレビなどをみている光景ではないでしょうか。これは寝ているわけではなく、単なる運動不足です。肥満予防で重要なことは、昼間はしっかり身体を動かして、夜はしっかりと眠ることです。

富山県での調査ですが、両親の肥満や運動不足など、子どもの肥満の原因となるさまざまな要因を調整した後の9年後のリスクは、3歳時に11時間以上の睡眠をとっていた子どもと比較して、9時間台の子どもでは1・24倍、9時間未満の子どもでは1・59倍と、睡眠時間が短いほど肥満のリスクは上昇していました。
また別の調査で、3歳の時に寝る時刻が午後11時以降だと午後9時前に寝ていたお子さんに比べて6年後1・5倍肥満になりやすいという報告もあります。

なぜ「寝ない子は太る」のでしょう。

睡眠時間が少ない子どもは、テレビを見る時間が長く、夜食を食べ、寝る時刻は遅く、起きる時間も遅く、朝食を食べず、運動不足であるなど、肥満になりやすい生活習慣を送っていることがわかっています。しかし、睡眠時間と肥満との関係は、このような肥満になりやすい生活習慣を統計的に調整した上でも認められていますので、睡眠不足単独でも肥満になりやすいといえます。

睡眠不足による肥満の背景にある生物学的なメカニズムとしては、

  1. 睡眠中の脂肪分解の役割を担っている成長ホルモンが、睡眠不足により分泌量が減少するため、夜間の脂肪分解が抑えられて肥満が発生する。
  2. 睡眠不足により交感神経の活動が亢進し、血清コルチゾールが上昇し、インスリン抵抗性が増大するため肥満が発生する。
  3. 睡眠不足により食欲に関係するホルモンであるレプチンやグレリンの分泌量が変化するため、食欲が亢進して肥満になる、などが考えられています。

現在、子どもの約10%が肥満であり、子どもの肥満は、将来のメタボリック症候群の予備軍であることから、子どもの肥満に対する早急な対策が必要となっています。子どもの肥満予防には、就学前からのよい睡眠習慣の確立がとても重要であると考えられています。

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