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北見小児科医師が書いた子育てアドバイス

子どもの予防接種 B型肝炎ワクチン③

B型肝炎ウイルス(HBV)感染の現状と今後の課題

現在日本では、B型肝炎に関して、母子感染対策事業や輸血用血液の検査が整備され血液製剤の安全性の向上が図られたことにより、かつての主な感染経路であった母子感染や輸血による感染はほぼみられなくなっています。にもかかわらず、現実にはB型肝炎は一向に減少せず、むしろ2000年以降は増加傾向にあります。近年、HBV感染においてどのような変化がみられているのでしょう。

この原因として、成人における海外から入ってきた肝炎ウイルスによるB型肝炎の増加が考えられています。HBVは、その遺伝子配列からA~Hの8つの遺伝子型(genotype)に分類されています。日本では、古くからタイプBおよびCが大部分を占めていました。

ところが最近は、成人の水平感染(その大半は性交渉による)と考えられるタイプAの増加が確認されています。従って、好発年齢は20~40歳代です、現在、約半数がタイプAの感染となっています。このタイプは、主に欧米、アフリカ、東南アジアなどに分布しており、これまで日本ではほとんど見られないものでした。従来、成人の水平感染によるB型肝炎は一過性の感染で終わり、キャリアとならないと考えられていました。しかしタイプAの感染では、1割前後で慢性感染が起こることが指摘されています。

すべての新生児に肝炎ワクチン接種を

現在、日本におけるB型肝炎ワクチンの接種対象者は、HBVキャリアの母親から生まれた新生児、医療従事者、家族内にHBVキャリアがいる場合、などのハイリスク者に限られています。したがって日本人の99%以上がワクチンの接種は受けておらず、ほとんどがHBV抗体を持っていません。

WHOおよびユニセフは、1992年、全世界に全新生児を対象としたB型肝炎ワクチンの接種(universal vaccination)を勧告しました。現在、WHO加盟国193カ国のうち、2007年までに90%に当たる174カ国がこれを導入しており、先進国では日本、英国、北欧の3カ国のみがuniversal HBワクチン接種を行っていません。

現在、海外への旅行者は1700万人を超え、入国する外国人も約1000万人に上ります。B型肝炎外国株による国内の増加は、この最近の動向と密接に関係していることは明らかであり、この国際化の時代において、世界中で日本の若者だけが無防備で取り残されているわけです。

新生児期のワクチンの効果は思春期前まで持続します。従って、わが国での急性肝炎の拡散を防止するためには、現在行われているハイリスク者だけのワクチン接種法を改めて、全新生児を対象にした接種とし、思春期に追加する方式をとることが望まれています。

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