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北見小児科医師が書いた子育てアドバイス

おたふくかぜ(ムンブス)による難聴

ムンブスは、無菌性髄膜炎などの多様な合併症を呈する疾患ですが、中でも難聴は最も怖い合併症です。 ムンブス難聴はムンブスウィルスにより、内耳の有毛細胞などの音を感知する器官が破壊されてしまう ことで起こる感音性難聴です。急速に進行して回復できない病変を残します。今のところ根本的な治療 はありません。難聴の程度は高度で聾(ろう)と呼ばれる全く音を感知できないほどの重症の場合が ほとんどです。片側のことが多く診断が遅れたりするため、正確な頻度を調べることが難しく、比較的 まれなものと考えられていました。しかし最近の報告では、ムンブス罹患者1000人に1人くらいの割合 でムンブス難聴が発症しているとされています。

この度、日本耳鼻咽喉学会による初のムンブス難聴に関する全国調査(全国耳鼻咽喉科施設5565中、 回答があった3586施設)が行われました。2015~2016年の2年間で、少なくとも348人がムンブスに よる難聴と診断されました。発症年齢と人数を図1に示します。学童期に最も多く、次いで子育て 世代に多く見られました。このうち最終的に一側難聴と診断された287人の聴力を検討すると、ほとんど 音を感知する事ができない重度難聴が236人、高度難聴が25人に上がり、約9割が重度ないし高度難聴 と診断でした(図2)。また両側難聴と診断された16人中13人も重度または高度難聴であり、7人は 人工内耳植え込み術を受け、6人は補聴器を装着していました。

今回の調査は、小児科を含まず耳鼻咽喉科のみを対象としているため、実際のムンブス難聴者は さらに多いことも推測されています。ムンブス難聴の怖さを認識していただき、ワクチンによる 予防の重要性、さらにワクチンの早期定期接種化が望まれます。

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