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北見小児科医師が書いた子育てアドバイス

おたふくかぜワクチンによるムンプス難聴の予防

おたふくかぜ(ムンプス)に対するワクチンは、1989年にMMR(はしか、風疹、おたふくかぜ)ワクチンとして定期接種化されましたが、 1993年にはワクチンの副反応である無菌性髄膜炎の発生率が高いとされ、実施が中止されました。以降、おたふくかぜ単独ワクチンで 使用されていますが、任意接種であるため現在の接種率は30~40%と推測されています。この低い接種率では、今後もムンプスウイルスは 常在し、時に大規模に流行することが容易に予測されます。

ムンプス難聴の発生頻度は、1、000人に1人程度とされていますので、およそ1年に50~200万人の人がムンプスにかかり、 毎年1、000人近いムンプス難聴が出ていることになります。おたふくかぜに対する根本的な治療はありません。合併症である ムンプス難聴を避ける唯一の手段は、ワクチンだけです。ワクチンを1回だけでも接種しておけば、もし仮におたふくかぜに かかったとしても軽症で経過し、怖い合併症を起こすことはありません。おたふくかぜワクチンの効果について表に示します。

現在、日本は先進国で唯一ムンプスワクチンが定期接種化されていない国であるため、予防接種率が30~40%と低迷しており、 これがおたふくかぜ流行の原因になっています。自然罹患による高いムンプス難聴率の事実と、ムンプス難聴がワクチンにより 予防できる後遺症であることがあまり知られていないことも予防接種率が低迷している原因の一つでしょう。

海外で採用されているムンプスワクチン(Jery-Lynn株)は効果の持続性などが最近問題となっており、またMMRワクチンとして 発熱率が高いことも知られています。このワクチンを日本で採用するのではなく、現在、日本独自のMMRワクチンの開発が進められて います。近い将来、このワクチンでの定期接種化が実現するものと思われますが、それを待つのではなく、まだおたふくかぜに かかっていない人は大人を含めワクチンの接種をすることをお勧めします。

小児科コラム

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