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北見小児科医師が書いた子育てアドバイス

子どもの気になる病気その⑧ 百日咳(1)

百日咳は、百日咳菌によって引き起こされる急性呼吸器感染症で、感染力が強く、咳による飛沫で感染します。潜伏期間は通常5〜10日、カゼ症状で始まりますが次第に咳がひどくなり、百日咳特有の咳(連続的な短い咳、息を吸うときにヒューと音がする)が出始めます。

乳児がかかると重症となり死に至ることもある怖い疾患です。百日咳はワクチンで予防でき、4種混合ワクチンをしっかり受けていれば、少なくとも乳幼児期の感染はありません。

百日咳は、以前は4歳以下が中心の「いわゆる子どもの病気」でした。しかし日本では近年、思春期〜成人で百日咳に罹患する人が増加しており、ワクチン未接種の乳児(とくに生後3か月未満)への感染源となることが大変危惧されています。思春期や成人の方が百日咳にかかっても、咳は長く続きますが小児のような特徴的な咳になることはなく、比較的軽い症状で経過します。このため百日咳と診断されないまま放置されやすく、乳幼児とくにワクチン未接種の乳児に感染させてしまう可能性があります。

なぜ思春期以降の百日咳がふえているのでしょう?

現行の4種混合ワクチンに含まれる百日咳ワクチンの免疫効果は6〜12年とされています。

以前は百日咳の流行が時々みられ、発症はしなくても抗体が上がるブースター効果のため、抗体はある程度維持されていました。しかし近年は、百日咳はほとんどみられなくなり、ブースター効果が得られないため、ワクチンによる百日咳の抗体が自然に低下している人が多いとされています。この状況は最近話題となっている麻疹、風疹にも当てはまります。

百日咳は保健所に報告

全国で百日咳にかかる人が増え、2018年1月からこれまで指定された医療機関のみの報告(小児科定点把握)から、すべての医師が届出を行う全数把握の対象疾患に変更されました。

2018年の1年間に全国で11、190例の百日咳の報告がありました(図)。6か月未満児(6%)5〜14歳(64%)小児科定点報告では把握できなかった30〜50代の成人(16%)、年齢中央値は10歳でした。全体の58%に当たる6518例が4回の百日咳含有ワクチンの接種歴があり、5〜14歳ではその割合は81%でした。

小児科コラム

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