子どもの肥満(3)小児メタボリック症候群 click to collapse contents
子どものうちから生活習慣病の芽を発見し、将来発症するかもしれない心血管系疾患を防ぐことを目標に、2007年、厚労省研究班から小児メタボリック症候群の診断基準(対象6~15歳)が発表されました。
男女ともにウエスト(腹囲)が80㎝以上に加え、血清脂質、血圧、空腹時血糖のうちの2項目以上が当てはまればメタボリック症候群と診断するものです。
小児メタボリックシンドローム診断基準
蓄積 臍部ウエスト周囲径80cm以上注)
上記に加え以下のうち2項目以上。
- 中性脂肪>120mg/dLかつ/
またはHDL-コレステロール<40mg/dL - 収縮期血圧125mmHgかつ/
または拡張期血圧70mmHg以上 - 空腹時血糖≧100mg/dL
注)腹囲については、腹囲/身長比が0.5以上
であれば基準を満たすとする。
小学生では75cm以上であれば
基準を満たすとする。
頻度
6~15歳の肥満小児の10~35%、全小児の0.5~2%と推測されています。これは欧州からの報告と似通っています。小児メタボリック症候群は決して稀ではありません。
腹部肥満+血清脂質異常+血圧高値、の組み合わせが大部分を占め、高血糖を呈する児は比較的まれです。
意義
小児の体重や腹囲の増加に伴い、血管の動脈硬化を示す初期病変が存在することを示唆する報告が相次いでいます。
さらに最近、米国から小児期のメタボリック症候群が、25年後の心血管疾患発症の予測因子となるという報告がありました。メタボリック症候群の病態は小児にも存在し、動脈硬化は小児期から既に始まっているのです。
小児の診断基準を設けることで、治療すべき肥満とその目標の設定が可能になりました。メタボリック症候群と診断された場合、将来のリスクを考え、食事療法や運動療法を中心とした包括的な治療が必要となります。
予備軍のチェック
現在は予備軍であっても、将来、メタボリック症候群となりそうな層を見つけ出し、より早めに介入することは意味があります。
そのための良い方法が、ウエスト周囲径/身長比0.5以上、での判定であり、この方がウエスト80㎝に満たないようなケースでも、メタボリック症候群はもちろんのこと、予備軍まで捉えることができます。チェックしてみてください。