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北見小児科医師が書いた子育てアドバイス

子どもの予防接種 麻疹・風疹(MR)ワクチン その①

H22年3月10日、産經新聞の朝刊(1面)に国立感染症研究所の岡部信彦先生の「ようやく麻疹排除?」というコラム記事が掲載されました。その一部を紹介しましょう。

江戸の町人文化を彩った錦絵に「はしか絵」と呼ばれるものがある。はしか(麻疹(ましん))を逃れようと神頼みする町人の姿にまじないの文言などが添えられている。

当時、子供だけではなく大人にも「命定めの病」として恐れられ、かかったら75日間、風呂や酒を禁じられたという。古くは平安時代の古典「栄花物語」にも麻疹らしき疫病の記述があり、人類は1000年以上にわたり、マシンに苦しめられてきた。

ところが、その『1000年来』の付き合いに、間もなく終止符を打てるかもしれない。
平成21年、日本の麻疹罹患(りかん)者数がおそらくは史上初めて1000人を切り、741人となった。日本ではつい10年ほど前に20万人~30万人もの発生と、年間100人前後もの死亡があったと推計される。

当時すでに南北アメリカ、隣国の韓国では麻疹排除を成し遂げており、「日本は自動車だけでなく麻疹も輸出する」と何とも不名誉な揶揄(やゆ)を受けてきた。かつて米国の予防接種会議でそんな日本の状況を問われ「数年先を見てくれ」と告げた覚えがあるが、大きく患者を減らしたのは、多くの方々が予防接種を受け、自身と社会を守る努力をしてくれた、たまものといえよう。

熱しやすく冷めやすい青春時代の恋愛を「はしかのようだ」と例えるように麻疹は誰でもかかる一過性の病とのイメージもあるが、重症化のリスクは高い。1000例に1、2人が死亡し、後遺症を残すこともある。また亜急性硬化性全脳炎(SSPE)と呼ばれる難病は、麻疹感染から数年後に発病し、ゆっくりと神経症状が進んで意識がなくなり、治療法がないままやがて亡くなる。

麻疹患者が20万人~30万人いれば、そのうち数人がやがてSSPEを発病する。しかし麻疹患者が700人程度なら、そのリスクは100年に1人出る程度にぐっと落ちる。昨年は麻疹による死者も、脳炎発症例も報告はない。麻疹が1000人を切るということは、この病で亡くなる人がいなくなることにつながるのだ。

ただ、ここで油断してはいけない。麻疹は空気感染で広がり、感染力は強い。予防接種を怠る人が増えると、すきができ、再び感染が広がる。毎年、95%程度の接種率を保てば、患者発生はほぼゼロに抑えられる。SSPEの親の会の人は言う。「皆さんの予防接種がこの先、子供や孫の代がSSPEになるのを防ぐのだ」と。

今、公費接種できるのは1歳と就学前の5~6歳、対象年齢の人は、3月中に駆け込みで、ぜひMRワクチンを受けていただきたい。その接種が、自分の身だけではなく、クラスメートや恋人、ひいてはまだ見ぬわが子も守るのだから。

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